2024年に待望の日本発売を果たし、ピックアップトラック市場に新たな風を吹き込んだ三菱の新型トライトン。
その力強いデザインと卓越したオフロード性能は、単なる移動手段としてではなく、ライフスタイルを豊かにするクルマとしての存在感を放っています。
しかし、この屈強な車種と長く付き合っていく上で、多くの方が最も現実的に考えるのは、維持費に直結する燃費性能ではないでしょうか。
この記事では、公表されているスペックやディーゼル燃費の詳細から、気になる価格、そして中古市場の最新動向まで、あらゆる角度から徹底的に解説します。
さらに、最大のライバルであるトヨタ ハイラックスとの価格比較、サイズ比較、そして燃費比較を通じて、新型トライトンが持つ真の価値と実力を掘り下げていきます。
- 新型トライトンのカタログ燃費とオーナーが報告する実燃費の目安
- 最大のライバル車「ハイラックス」との燃費・価格・性能の徹底比較
- 年間走行距離から算出する具体的な燃料代と維持費のシミュレーション
- 購入前に必ず知っておきたいグレード別の装備差や注意点
三菱トライトン新型の燃費と基本情報

- 新型トライトンの日本発売日と概要
- 注目すべき新型トライトンのスペック
- グレード別の新型トライトンの価格
- 三菱トライトンはリッター何キロ走る?
- カタログ値で見るディーゼル燃費
- トライトンの燃料代はいくら?
新型トライトンの日本発売日と概要
三菱の新型ピックアップトラック「トライトン」は、多くのファンの期待を背負い、2024年2月15日に日本での販売が正式に開始されました。
これは、先代モデルの販売終了から実に約12年ぶりとなる国内市場への華々しいカムバックであり、そのニュースは多くの自動車専門誌やメディアで大きく取り上げられました。
この新型トライトンは、タイで生産され世界150カ国以上で販売される三菱の世界戦略車です。開発コンセプトに「BEAST MODE(勇猛果敢)」を掲げ、その言葉通り、見る者を圧倒するような力強いデザインが与えられています。
フロントマスクには、近年の三菱車に共通するデザイン思想「ダイナミックシールド」がより一層大胆に採用され、3眼プロジェクター式のLEDヘッドライトと相まって、頼もしい表情を創り出しています。
しかし、新型トライトンの魅力は見た目だけではありません。伝統的にオフロード性能に定評のある三菱らしく、頑丈なラダーフレーム構造を新設計。
それに加え、フロントにダブルウィッシュボーン式、リアにリーフスプリング式のサスペンションを新たに開発し、オンロードでの乗り心地と操縦安定性も飛躍的に向上させました。
これにより、本格的な悪路走破性と日常域での快適な乗り心地という、相反する要素を高次元で両立させています。
まさに、仕事の道具から週末のアウトドアレジャーまで、あらゆるシーンでオーナーの期待に応える一台です。
- 正式発売日: 2024年2月15日
- 市場での位置づけ: 約12年ぶりに日本市場へ復活したグローバルモデル
- 開発コンセプト: BEAST MODE(勇猛果敢)
- 基本構造: 走行性能と耐久性を両立する新設計ラダーフレームを採用
注目すべき新型トライトンのスペック
新型トライトンが持つポテンシャルの高さを理解する上で、その詳細なスペックの確認は欠かせません。
特にエンジン、駆動システム、そしてボディサイズは、ライバル車と比較する上でも重要な指標となります。
新開発の2.4Lクリーンディーゼルエンジンには、回転数に応じて2つのタービンを協調させる「2ステージターボシステム」が採用され、低回転域から高回転域まで、途切れることのない力強い加速感を実現しています。
以下に、上級グレード「GSR」の主要スペックをまとめました。
項目 | スペック詳細 |
---|---|
全長×全幅×全高 | 5,360mm × 1,930mm × 1,815mm |
ホイールベース | 3,130mm |
最低地上高 | 220mm |
車両重量 | 2,140kg |
エンジン | 4N16型 直列4気筒DOHC 2ステージターボチャージャー |
総排気量 | 2,439cc |
最高出力 | 150kW (204PS) / 3,500rpm |
最大トルク | 470N・m (47.9kgf・m) / 1,500-2,750rpm |
トランスミッション | 6速スポーツモードA/T |
駆動方式 | スーパーセレクト4WD-Ⅱ (SS4-Ⅱ) |
最小回転半径 | 6.2m |
使用燃料 | 軽油 |
燃料タンク容量 | 75L |
特筆すべきメカニズム:スーパーセレクト4WD-II
トライトンの走りを支える中核技術が、三菱独自の「スーパーセレクト4WD-II(SS4-II)」です。
一般的なパートタイム4WDが悪路専用なのに対し、SS4-IIはセンターデフを備えた「4H(フルタイム4WD)」モードを搭載。
これにより、雨の日の高速道路など、滑りやすい舗装路でも4WDの安定した走りを得ることができます。これはライバル車にはない、大きなアドバンテージです。
前述の通り、全長5.3m超、全幅1.9m超という堂々たる体躯は、トライトンの魅力であると同時に注意点でもあります。特に都市部の機械式駐車場はほぼ利用不可と考えた方がよいでしょう。最小回転半径も6.2mと大きいため、購入を検討する際は、必ず試乗を通じて自宅周辺の道路や車庫入れの感覚を確かめることを強く推奨します。
グレード別の新型トライトンの価格

新型トライトンには、装備や内外装の異なる2つのグレード、「GLS」と「GSR」がラインナップされています。
どちらも走行性能の基本は同じですが、スタイリングや快適装備に違いがあり、価格差も考慮して慎重に選びたいところです。
GSR (ジーエスアール)
車両本体価格は5,401,000円(税込)です。これは内外装の装備を充実させた上級グレードであり、トライトンのタフな魅力を最大限に引き立てる仕様となっています。
エクステリア | ボディ同色フロントグリル、ブラックのフェンダーアーチモール、ルーフレール、スタイリングバー、ブラックのホイール |
インテリア | オレンジステッチ入り本革シート(一部合成皮革)、ダークチタン調の加飾パネル |
GLS (ジーエルエス)
車両本体価格は4,980,800円(税込)です。こちらは実用性を重視したスタンダードグレードと位置づけられています。
エクステリア | ブラックメタリックのフロントグリル、メッキのバンパーガーニッシュ、フェンダーアーチモール・ルーフレール・スタイリングバーは非装備、グレーメタリックのホイール |
インテリア | ファブリックシート、シルバー調の加飾パネル |
価格差は約42万円ですが、GSRに標準装備されるパーツ(スタイリングバーやベッドライナー等)は、後からディーラーオプションで追加すると高額になりがちです。リセールバリュー(再販価値)も考慮すると、最初から装備が充実しているGSRを選ぶ方が、総合的な満足度とコストパフォーマンスで優れていると考える方が多いようです。
三菱トライトンはリッター何キロ走る?
さて、本題の燃費性能です。車の維持費を大きく左右するこの数値は、購入前に最も正確に把握しておきたい情報の一つでしょう。
三菱が公式に発表している新型トライトンのカタログ燃費(WLTCモード)は、11.3km/Lです。このWLTCモードは、「市街地」「郊外」「高速道路」という3つの走行シーンを想定した燃費を、国際的な基準で平均化したもので、より実態に近い数値とされています。
しかし、これはあくまで一定の条件下での測定値。実際の燃費、いわゆる「実燃費」は、ドライバーのアクセルワーク、道路の混雑状況、積載する荷物の重さ、タイヤの空気圧、エアコンの使用頻度など、無数の要因によって常に変動します。
オーナーによる燃費投稿サイト「みんカラ」などの情報を総合すると、実燃費はおおよそ以下の範囲に収まることが多いようです。
- 市街地走行がメインの場合: 8.0 〜 10.5 km/L
- 郊外や高速道路での巡航が多い場合: 12.0 〜 15.0 km/L
特に長距離を一定速度で走行できる高速道路では、15km/Lを超える数値を記録したという報告も見られます。2.1トンを超える車重と、4WDシステムを持つピックアップトラックとしては、非常に優秀な燃費性能と言えるでしょう。
カタログ値で見るディーゼル燃費
前述のWLTCモード燃費11.3km/Lの内訳を詳しく見ることで、ご自身の主な運転シーンに合わせた燃費をより具体的にイメージすることができます。WLTCモードは、以下の3つのモードで構成されています。
走行モード | 燃費 (km/L) | 走行シーンの解説 |
---|---|---|
市街地モード | 8.5 | 信号や渋滞の影響を受け、発進・停止を頻繁に繰り返す市街地での低速走行を想定したモードです。 |
郊外モード | 11.4 | 信号や渋滞が少なく、比較的スムーズに流れに乗って走行できる郊外の道路を想定したモードです。 |
高速道路モード | 13.0 | 高速道路や自動車専用道などでの、安定した速度での巡航を想定したモードです。 |
このデータから、やはりストップ&ゴーの多い市街地走行は燃費が最も悪化することが分かります。
一方で、最も効率が良いのは高速道路での走行です。これは、トライトンに搭載された6速ATが、高速巡航時には低いエンジン回転数を保つように最適化されているためです。
アウトドアや帰省などで長距離を移動する機会が多い方にとっては、この高速燃費の良さは大きなメリットとなるでしょう。
トライトンの燃料代はいくら?
「リッター何キロ」という数値がわかったところで、次はそれを実際の「円」に換算してみましょう。ここでは、年間走行距離を3パターン想定し、月々および年間の燃料代がどのくらいになるかをシミュレーションします。
燃料代シミュレーション(2025年7月時点)
以下の条件で計算を行います。
- 燃費: 11.3km/L(WLTCモード)
- 軽油価格: 154円/L (2025年7月上旬の全国平均価格を参考 (参照:物流ニュース))
年間走行距離 | 1ヶ月あたりの燃料代 | 年間の燃料代(目安) |
---|---|---|
5,000km (近所の買い物や週末利用) | 約5,693円 | 約68,318円 |
10,000km (通勤や一般的な利用) | 約11,386円 | 約136,637円 |
15,000km (長距離通勤やレジャー多用) | 約17,079円 | 約204,955円 |
※この計算はあくまでカタログ燃費を基にした目安です。実際の燃料代は、運転スタイルや燃料価格の変動により変わることをご了承ください。
年間1万km走行する場合、月々の燃料代は約1.1万円となります。レギュラーガソリンより安価な軽油を燃料とすることも、ランニングコストを抑える上で大きな利点です。
比較でわかる三菱トライトン新型の燃費

- ライバルのハイラックスとサイズ比較
- 注目のハイラックスと燃費を比較
- ハイラックスと価格を比較して分析
- 新型トライトンの中古市場の動向は?
ライバルのハイラックスとサイズ比較
新型トライトンを検討する際、避けては通れないのが最大のライバル、トヨタ「ハイラックス」の存在です。
どちらも日本国内で正規購入できる貴重なピックアップトラックであり、そのキャラクターやサイズ感の違いは、購入を決定する上で非常に重要な要素となります。
ここでは、両車のボディサイズを並べて比較してみましょう。
項目 | 三菱 トライトン (GSR) | トヨタ ハイラックス (Z”GR SPORT”) |
---|---|---|
全長 | 5,360mm | 5,320mm |
全幅 | 1,930mm | 1,900mm |
全高 | 1,815mm | 1,840mm |
ホイールベース | 3,130mm | 3,085mm |
最小回転半径 | 6.2m | 6.4m |
サイズを比較して最も際立つのは、やはり全幅です。GSRグレードのトライトンはハイラックスの最上級グレード”GR SPORT”と比較しても30mmワイドです。
このワイド&ローなスタンスが、トライトンならではの迫力と安定感のある走りに貢献しています。
一方で、ホイールベースもトライトンの方が長く、直進安定性に優れる反面、最小回転半径はハイラックスが僅かに優れており、Uターンなどでは差を感じるかもしれません。
このサイズの違いがもたらす見た目の印象と、実際の取り回しの感覚を総合的に判断することが重要です。
注目のハイラックスと燃費を比較
サイズ感と並び、購入後の満足度を左右するのが燃費性能と動力性能のバランスです。日々の経済性を取るか、走りの余裕を取るか。両車のキャラクターが色濃く反映されるポイントです。
項目 | 三菱 トライトン (GSR) | トヨタ ハイラックス (Z) |
---|---|---|
エンジン | 2.4L 2ステージターボディーゼル | 2.4L シングルターボディーゼル |
最高出力 | 204PS | 150PS |
最大トルク | 470N・m | 400N・m |
燃費 (WLTC) | 11.3km/L | 11.7km/L |
パワーのトライトン、燃費のハイラックス
カタログ上の燃費では、ハイラックスが11.7km/Lと、トライトンの11.3km/Lを僅か0.4km/L上回っています。この差は微々たるものですが、経済性を最優先するならばハイラックスに軍配が上がります。
しかし、ここで注目すべきは、トライトンが出力で54PS、トルクで70N・mもハイラックスを上回っているという事実です。
これだけ圧倒的な動力性能の差がありながら、燃費の差を最小限に抑えている点は、トライトンに搭載された先進的な2ステージターボエンジンの効率の良さを証明しています。
高速道路での追い越しや、重い荷物を積んだ際の登坂路など、パワーが求められる場面では、トライトンの方が遥かに余裕のある走りを見せてくれるでしょう。
「燃費の僅かな差」と「体感できる動力性能の大きな差」を天秤にかけることが、賢い選択の鍵となります。
ハイラックスと価格を比較して分析

性能、サイズ、そして燃費を比較した上で、最終的な判断材料となるのが車両価格です。両車の価格設定には、それぞれのメーカーの思想やターゲット層が明確に表れています。
- 三菱 トライトン: 4,980,800円 〜 5,401,000円
- トヨタ ハイラックス: 4,072,000円 〜 4,312,000円
ご覧の通り、トライトンの方が約90万円から110万円ほど高価な価格設定となっています。この大きな価格差の背景には、一体何があるのでしょうか。
トライトンの価格は、単に車両が大きいから、エンジンがパワフルだからという理由だけではありません。以下のような、走りの質と快適性を高める多くの付加価値が含まれています。
- 圧倒的な動力性能: 2ステージターボによる力強い加速性能。
- 先進の4WDシステム: 舗装路でも安定走行可能な「スーパーセレクト4WD-II」。悪路走破性を高める「アクティブヨーコントロール(AYC)」や7つのドライブモードも搭載。
- モダンで上質な内外装: 乗用車ライクな水平基調のインパネや、GSRグレードのレザーシートなど、質感の高い空間。
- 充実した快適装備: 特に後部座席用の送風機能である「リヤサーキュレーター」は、同乗者の快適性を大きく向上させるハイラックスにはない装備です。
これらの要素を考慮すると、トライトンの価格は、より高性能で快適な「プレミアム・ピックアップトラック」としての価値を反映したものと言えます。
単純な価格差だけでなく、得られる体験価値を含めて総合的に判断することが重要です。
新型トライトンの中古市場の動向は?
新車価格が500万円前後となるため、少しでも費用を抑えたいと中古車市場に目を向ける方も少なくないでしょう。
しかし、結論から言うと、2024年に発売されたばかりの新型トライトンを、お得な中古車として手に入れるのはまだ難しい状況です。
現在の市場に流通している車両のほとんどは、ディーラーの展示・試乗車として使用された後に市場に出た「デモカーアップ」と呼ばれる車両や、一度登録だけされて公道をほとんど走っていない「登録済み未使用車」です。
これらの車両は、新車同様のコンディションが魅力ですが、価格も新車とほとんど変わらないのが実情です。
- 価格: 大幅な値下がりは期待できません。新車にオプションを付けた総額よりは安く収まる、という程度の認識が良いでしょう。
- 流通量: タマ数が非常に少ないため、希望のグレードやボディカラーを見つけるのは困難です。見つけたらすぐに行動する必要があります。
- 将来性: 中古車の価格が本格的に下落し始めるのは、一般的に最初の車検を迎える3年後や、マイナーチェンジが行われた後です。それまでは高値安定が続くと予想されます。
今すぐトライトンに乗りたいという場合は、新車での購入を基本線に商談を進めるのが最も現実的な選択と言えるでしょう。
まとめ:三菱トライトン新型の燃費性能
- 新型トライトンの公式なWLTCモード燃費は11.3km/L
- 実燃費は市街地で約8〜10km/L、高速道路では13km/L以上が期待できる
- 2.1トン超の車重と204PSのハイパワーを考慮すれば燃費性能は優秀
- 燃料は経済的な軽油で、タンク容量は75Lと大容量
- 年間1万km走行時の燃料代は約13〜14万円が目安
- ライバルのハイラックス(11.7km/L)とは燃費に大きな差はない
- 動力性能はハイラックスを大幅に上回り、力強い走りが魅力
- 舗装路でも安定するフルタイム4WDモードはハイラックスにはない大きな利点
- 価格は約498万円からで、ハイラックスより約90万円以上高価
- 価格差はエンジン性能や先進的な4WDシステム、内外装の質感に起因する
- 全幅は1,930mm(GSR)と非常にワイドで迫力がある
- 後席用のリヤサーキュレーターなど快適装備も充実
- 2024年発売の新型のため、中古車市場の流通は極めて少ない
- 中古車は「登録済み未使用車」が中心で、価格は新車に近い
- コストパフォーマンスを求めるならGLS、満足度とリセールを重視するならGSRがおすすめ