新車の購入時、ディーラーから「自動車保険も一緒にいかがですか?」と勧められた経験はありませんか。
手続きが一度で済む手軽さから、つい契約してしまいがちですが、インターネット上では「自動車保険をディーラーで契約するのはやめとけ」という声も少なくありません。
実際のところ、ディーラーで保険に加入するメリットと、保険料の相場が高くなるといったデメリットはどちらが大きいのでしょうか。また、なぜ保険料が高くなるのか、その背景にあるディーラーの利益構造や、ホンダやトヨタといったメーカーごとのサービスの違いも気になるところです。
この記事では、ディーラー保険の実際の加入率や、しつこい勧誘、3年契約といったプランで起こりがちなトラブルにも触れながら、後悔しない自動車保険の選び方を解説します。
結局、保険は一番いいのはどこなのか、避けるべき代理店のワーストランキングは?といったあなたの疑問にお答えしていきます。
- ディーラー保険のメリットとデメリット
- 保険料が割高になる理由と構造
- ダイレクト型保険との比較ポイント
- 後悔しないための保険の選び方
自動車保険・ディーラーはやめとけと言われる主な理由

- メリットより大きいデメリットとは?
- 通販型との保険料の相場を比較
- なぜ高い?ディーラーの利益構造
- 実際のところ保険の加入率は?
- しつこい勧誘と契約後のトラブル
メリットより大きいデメリットとは?
ディーラーで自動車保険を契約することには、もちろんメリットも存在します。しかし、「やめとけ」と言われるからには、それを上回るデメリットがあると考えられています。ここでは、双方を客観的に比較検討します。
ディーラー保険のメリット
まず、ディーラーで保険に加入する最大のメリットは、車の購入から保険契約までをワンストップで完結できる手軽さです。納車日に合わせて保険の開始日を設定できるため、無保険期間が発生する心配がありません。
また、万が一事故が起きた際、車の修理から保険会社への連絡まで、窓口をディーラーに一本化できる点も大きな利点です。事故後の混乱した状況で、あちこちに連絡する必要がないのは心強いサポートと言えるでしょう。
メリットを上回る3つのデメリット
一方で、手軽さというメリット以上に、多くの人が懸念するデメリットが存在します。これらが「やめとけ」と言われる主な理由です。
1. 保険料が割高になる傾向
最大のデメリットは、保険料の高さです。ディーラーが扱う保険は「代理店型」に分類され、インターネットで直接契約する「ダイレクト型(通販型)」に比べて、代理店手数料などが上乗せされるため、保険料が高くなる傾向にあります。
2. 担当者の専門知識が十分でない可能性
ディーラーの営業担当者は、自動車販売のプロではありますが、必ずしも保険の専門家ではありません。そのため、保険に関する深い知識が不足している場合があり、個々のニーズに最適なプランを提案してもらえない可能性があります。
3. 取り扱う保険会社の選択肢が少ない
ディーラーは特定の保険会社と提携しているケースがほとんどです。そのため、複数の保険会社の商品を比較検討して、自分に最も合ったものを選びたいと考えている人にとっては、選択肢が極端に狭まってしまいます。
これらのデメリットを考慮すると、手続きの簡便さというメリットを取るか、保険料の安さや補償内容の最適化を優先するか、慎重な判断が求められます。
通販型との保険料の相場を比較
ディーラー保険の保険料が割高であることは前述の通りですが、実際にダイレクト型(通販型)の自動車保険と比較して、どれくらいの差額が生じるのでしょうか。ここでは、具体的な条件を基にした保険料の相場を比較してみます。
もちろん、保険料は運転者の年齢、等級、車種、補償内容によって大きく変動するため、あくまで一例として参考にしてください。
【シミュレーション条件】
・年齢:35歳
・等級:15等級
・車種:トヨタ プリウス
・使用目的:日常・レジャー
・運転者限定:本人・配偶者
・車両保険:あり(一般条件)
保険の種類 | 年間保険料の目安 | 特徴 |
---|---|---|
ディーラー保険(代理店型) | 約80,000円~120,000円 | 対面での相談が可能。担当者によるサポートが受けられるが、中間コストが上乗せされるため保険料は高め。 |
ダイレクト型保険(通販型) | 約50,000円~70,000円 | インターネットや電話で直接契約するため、中間コストが削減され保険料が安い。手続きは自分で行う必要がある。 |
このシミュレーションでは、年間で3万円から5万円程度の差が出ることが分かります。同じ補償内容であっても、契約する経路が違うだけでこれだけの差額が生まれる可能性があるのです。
保険料を少しでも抑えたいと考えるのであれば、ディーラーで提示されたプランを鵜呑みにせず、少なくとも1社以上のダイレクト型保険で見積もりを取得し、比較検討することが非常に重要です。
なぜ高い?ディーラーの利益構造

ディーラーで加入する自動車保険の保険料が、なぜダイレクト型保険よりも高くなるのでしょうか。その答えは、ディーラーのビジネスモデルと利益構造にあります。
ディーラーは自動車を販売するだけでなく、保険会社から委託を受けて保険商品を販売する「保険代理店」としての役割も担っています。顧客がディーラー経由で自動車保険を契約すると、保険会社からディーラーに対して「代理店手数料」が支払われます。
代理店手数料が保険料に上乗せされる
この代理店手数料こそが、保険料が割高になる直接的な原因です。私たちの支払う保険料には、本来の補償にかかる費用に加えて、ディーラーの運営費や人件費、そして利益となる手数料が含まれています。
言ってしまえば、私たちは対面での相談や手続き代行といったサービスに対して、手数料という形で追加の料金を支払っていると考えることができます。
一方、ダイレクト型保険は保険会社と顧客が直接契約を結びます。ディーラーのような中間代理店が存在しないため、代理店手数料が発生しません。削減できたコストを保険料に還元することで、安い価格設定を実現しているのです。
もちろん、ディーラーが手数料を得ること自体は正当なビジネス活動です。しかし、契約者としては、自分が支払う保険料にどのようなコストが含まれているのかを理解した上で、そのサービスに対価を支払う価値があるかどうかを判断することが大切です。
ディーラーの丁寧なサポートに価値を感じる人もいれば、自分で手続きをするから保険料を安くしたいと考える人もいるでしょう。この構造を理解することが、納得のいく保険選びの第一歩となります。
実際のところ保険の加入率は?
「ディーラー保険はやめとけ」という意見がある一方で、実際にどれくらいの人がディーラーで自動車保険に加入しているのでしょうか。正確な統計データは調査主体によって異なりますが、一般的に言われている傾向について解説します。
調査データによると、自動車保険の加入経路として最も多いのは依然として「保険代理店」であり、その中にはディーラーも含まれます。しかし、近年ではインターネット経由で契約するダイレクト型保険のシェアが急速に拡大しています。
特に、新車購入時にはディーラーで保険に加入する割合が高くなる傾向があります。これは、車の購入と同時に手続きができる手軽さや、「お付き合い」で断りにくいといった心理的な要因が影響していると考えられます。
更新時に見直す人が多数
一方で重要なのは、初年度はディーラーで契約したものの、翌年の更新のタイミングで保険料の安いダイレクト型保険に乗り換える人が非常に多いという事実です。一度自動車保険の仕組みを理解すると、保険料の差がより明確に感じられるため、より合理的な選択をする人が増えています。
このように、ディーラーでの加入率は、特に新車購入時という限定的なタイミングで見ると依然として一定の割合を占めていますが、長期的に見ると他の選択肢、特にダイレクト型保険へと流れる傾向が強まっているのが現状です。

しつこい勧誘と契約後のトラブル
ディーラーでの保険契約をためらう理由の一つに、「しつこい勧誘」や「契約後のトラブル」への懸念があります。すべてのディーラーや担当者がそうであるわけでは決してありませんが、実際に起こり得るケースについて知っておくことは重要です。
しつこいと感じる営業手法
ディーラーの営業担当者には、保険契約の販売ノルマが課せられている場合があります。そのため、車本体の値引き交渉の材料として保険加入を提案したり、「納車に間に合わなくなる」といった言葉で契約を急かしたりするなど、やや強引な勧誘が行われるケースも耳にします。
もし、しつこい勧誘を受けて困った場合は、「保険は家族や知人の付き合いで決まったところがある」「複数の会社を比較してじっくり考えたい」など、明確に、しかし丁寧に断る意思を伝えることが大切です。その場で即決する必要は一切ありません。
契約後に考えられるトラブル
無事に契約したとしても、後からトラブルに発展する可能性もゼロではありません。
・補償内容のミスマッチ
担当者の知識不足から、自分のライフスタイルに合わない不要な特約が付いていたり、逆に必要な補償が漏れていたりするケースです。事故が起きて初めて「補償されない」と気づくのでは手遅れです。
・事故対応の遅れや質の低さ
「ディーラーが窓口だから安心」と思っていても、実際には保険会社への伝達がスムーズでなかったり、担当者によって対応の質にばらつきがあったりすることがあります。結果的に、自分で直接保険会社とやり取りした方が早かった、という事態も考えられます。
これらのトラブルを避けるためにも、契約内容は自分自身でしっかりと確認し、疑問点はその場で解消することが不可欠です。担当者に任せきりにせず、主体的に保険を選ぶ姿勢が求められます。
自動車保険・ディーラーはやめとけと言われた時の行動

- ホンダやトヨタのディーラー保険
- 注意が必要な3年契約とは?
- 代理店のワーストランキングは?
- では、結局一番いいのはどこか
ホンダやトヨタのディーラー保険
ディーラーで扱う自動車保険は、単に保険会社の商品をそのまま販売しているだけではありません。自動車メーカーによっては、ディーラーで加入した顧客だけが利用できる独自のサービスを付帯させている場合があります。
ここでは代表的な例として、ホンダとトヨタのディーラー保険の特徴を紹介します。
メーカー | 主な独自サービス(例) | 特徴 |
---|---|---|
ホンダ | Hondaのあんしんプラン ・フロントガラス損害補償 ・キーシリンダー損害補償 | 保険を使わずに、フロントガラスの飛び石による損害などを一定金額まで補償してくれるサービスが特徴です。 等級に影響しないため、気軽に修理を依頼できます。 (※サービス内容は販売会社や契約内容により異なります) |
トヨタ | トヨタならではの安心・便利なサービス ・オリジナル修理サービス ・事故対応サポート | 事故の際、レッカー搬送から修理までをトヨタの販売店が一貫してサポート。 また、保険を使った修理だけでなく、軽微な傷などに対応する独自の修理サービスを提供している場合があります。 (※サービス内容は販売会社や契約内容により異なります) |
これらのオリジナルサービスは、特に新車を大切に乗りたい人にとっては魅力的に映るかもしれません。しかし、これらのサービスを受けるために、年間数万円高い保険料を支払い続けることが合理的かどうかは、慎重に判断する必要があります。
例えば、フロントガラスの補償のために年間3万円高い保険料を払うのであれば、その3万円を万が一のための修理費用として貯蓄しておく、という考え方もできます。独自のサービス内容と、ダイレクト型保険との保険料差額を天秤にかけ、自分にとって本当に価値があるかを見極めましょう。
注意が必要な3年契約とは?
ディーラーで自動車保険を勧められる際、「3年契約(長期契約)」を提案されることがあります。「保険料が3年間変わらないのでお得ですよ」といったセールストークで勧められることが多いこのプランですが、契約前によく理解しておくべき注意点が存在します。
3年契約のメリット
まずはメリットから見ていきましょう。最大のメリットは、契約期間中の保険料が固定されることです。契約期間中に事故を起こして保険を使い、等級がダウンしたとしても、次の更新までは保険料が上がりません。また、毎年の更新手続きが不要になるため、手間が省けるという点も挙げられます。
注意すべきデメリット
一方で、デメリットはより深刻な場合があります。
1. 保険料の見直しができない
3年間、保険料も補償内容も固定されるため、途中でより条件の良い保険商品が登場しても乗り換えることができません。ダイレクト型保険会社は競争が激しく、年々新しい割引やサービスが登場します。その恩恵を受けられないのは大きな機会損失となる可能性があります。
2. ライフスタイルの変化に対応しにくい
結婚や引っ越し、車の買い替えなど、ライフスタイルが変化しても、契約内容を柔軟に変更することが困難です。結果的に、現状に合わない無駄な保険料を支払い続けることにもなりかねません。
3. 途中解約で損をする可能性
やむを得ず途中解約する場合、払い込んだ保険料が全額戻ってこないケースがほとんどです。1年ごとに契約していれば、このようなリスクはありません。
安定を求めるか、柔軟性を求めるかによって評価は分かれますが、多くの情報にアクセスできる現代においては、1年ごとに契約内容を見直し、常に最適な保険を選択できる状況を維持しておく方が、結果的に得をするケースが多いと言えるでしょう。
代理店のワーストランキングは?

「避けるべき代理店はどこか?」という疑問を持つ方は多いかもしれませんが、特定の代理店の「ワーストランキング」を名指しで作成することは、客観的な評価が難しく、また不適切です。代理店の良し悪しは、最終的には担当者個人の資質や店舗の方針に大きく左右されるためです。
そこで、ここでは特定の代理店名を挙げるのではなく、契約を避けるべき「代理店の特徴」という観点から解説します。以下のような特徴が見られる場合は、注意が必要です。
避けるべき代理店の3つの特徴
1. メリットばかりを強調し、デメリットを説明しない
保険料の安さや手続きの手軽さなど、良い点ばかりをアピールし、保険料が高くなる理由や補償の穴について一切触れない代理店は信頼できません。顧客にとって不利益になる情報も誠実に伝える姿勢があるかを見極めましょう。
2. 質問に対して曖昧な回答しかしない
補償内容や専門的な用語について質問した際に、明確に答えられなかったり、「大丈夫です」といった根拠のない言葉でごまかしたりする場合は、担当者の知識不足が疑われます。安心して任せることは難しいでしょう。
3. 契約を急かす・即決を迫る
「このキャンペーンは今日までです」「今決めないと納車に間に合わない」など、顧客に考える時間を与えず契約を迫るような代理店は、顧客のことよりも自社の利益を優先している可能性が高いです。自動車保険は、十分に比較検討した上で納得して契約するべきものです。
ワーストランキングを探すよりも、このような「避けるべき特徴」に当てはまらない、信頼できる担当者や代理店を見つけることの方が、より建設的で重要です。
では、結局一番いいのはどこか
ディーラー保険のメリット・デメリットを理解した上で、「では、結局どこで自動車保険に加入するのが一番いいのか?」という疑問に行き着くでしょう。
結論から言えば、万人にとって「ここが一番」という正解はありません。なぜなら、保険に求める価値観は人それぞれだからです。
そこで、ここでは主な加入経路である「ディーラー(代理店型)」「専業代理店」「ダイレクト型(通販型)」の3つの特徴を整理し、どのような人におすすめなのかを解説します。
自分に合った加入経路を見つける
1. ディーラー(代理店型)がおすすめな人
・とにかく手続きの手間を省きたい人
・保険料が多少高くても、購入から事故対応まで全て任せたい人
・メーカー独自の付帯サービスに強い魅力を感じる人
2. 専業代理店がおすすめな人
・複数の保険会社の商品を比較しながら、専門的なアドバイスを受けたい人
・保険の知識はないが、自分に最適なプランを提案してほしい人
・対面での丁寧なサポートを重視する人
3. ダイレクト型(通販型)がおすすめな人
・保険料を少しでも安く抑えたい人(最優先)
・インターネットでの情報収集や手続きに抵抗がない人
・自分で補償内容を比較検討し、納得して選びたい人
近年では、保険料の安さと補償内容のバランスから、ダイレクト型保険を選ぶ人が増加傾向にあります。
まずはインターネットの一括見積もりサービスなどを利用して、ダイレクト型保険の保険料がどれくらいになるのかを把握し、それを基準にディーラー保険や専業代理店の提案と比較してみるのが、最も賢明で後悔のない選択方法と言えるでしょう。

まとめ:自動車保険・ディーラーはやめとけと言われるわけ
この記事では、なぜ自動車保険をディーラーで契約するのは「やめとけ」と言われるのか、その理由と賢い選び方について解説しました。最後に、記事全体の要点をリスト形式でまとめます。
- ディーラー保険は車の購入と同時に契約できる手軽さがメリット
- 事故が起きた際の対応窓口をディーラーに一本化できる
- 最大のデメリットはダイレクト型に比べて保険料が割高なこと
- 保険料にはディーラーに支払われる代理店手数料が含まれている
- 営業担当者が必ずしも保険の専門家ではない点も懸念材料
- ホンダやトヨタなどメーカー独自のサービスが付帯する場合がある
- 勧められやすい3年契約は途中で見直しができない点に注意
- 特定の代理店のワーストランキングを探すより避けるべき特徴を知ることが重要
- しつこい勧誘には即決せず、比較検討する意思を明確に伝える
- 契約後のトラブルを避けるには自分自身で補償内容を確認することが不可欠
- 近年の加入率はダイレクト型(通販型)保険がシェアを伸ばしている
- 結局一番いいのはどこか、という問いに唯一の正解はない
- 保険料を最優先するならダイレクト型が最も合理的な選択肢
- ディーラーの提案と比較するために一括見積もりの利用がおすすめ
- 最終的には自分の価値観に合った加入経路を選ぶことが後悔しないコツ