ホンダ・フリードのメンテナンスやタイヤ交換を自分で行おうと考えたとき、ジャッキアップポイントがどこにあるのかは必ず知っておきたい基本知識です。
また、GP3・GB3・GB4の違いに注意すべきポイントや、ジャッキアップ構造とはどのような仕組みか、さらにフリードプラスやスパイクの共通点と違い、GTやGB7・GB8での注意点についても詳しく触れています。
最後に、前方・中央・リアのおすすめ設置位置や、社外ジャッキ選びと費用の目安まで網羅した、初めてでも安心して作業できる決定版ガイドです。
フリードのジャッキアップポイント
型式別の違いと注意点
前輪・後輪・サイドの安全なジャッキ設置方法
適切なジャッキの種類・強度・購入費用の目安
フリードのジャッキアップポイントの位置と基本知識

・ジャッキアップポイントの見つけ方とは?
・ジャッキ収納場所はどこ?
・前輪・後輪で違うジャッキ設置場所
・サイド部の安全なジャッキの当て方
・車高と必要なジャッキ高さ
・タイヤ交換に必要なジャッキの強度とは?
ジャッキアップポイントの見つけ方とは?
まず、フリードをはじめとするホンダ車のジャッキアップポイントを見つけるには、車体下の「L字型に折り返された補強リブのある箇所」を探すことが基本になります。
これは、車のサイドシル(側面の下部)に沿って、前後の車輪のやや内側に設けられていることが多く、パンタジャッキや油圧ジャッキをかけるために構造的に補強された部位です。
このように言うと簡単に思えるかもしれませんが、実際には車体の形状や光の加減で非常に見つけづらい場合があります。そのため、初めてジャッキアップをする方は、事前に取扱説明書の該当ページを確認しておくことが大切です。
多くのモデルでは、図解付きで「ここがジャッキポイントです」と示されているため、写真と実物を照らし合わせることで見落としを防げます。
例えば、フリードのフロント部分ではサブフレーム中央のくぼみに近い突起部分がジャッキポイントです。そこには2つの穴があいていることが多く、他の部分と異なりアンダーカバーに覆われていないため比較的見つけやすい構造になっています。
一方、リア側ではバンパー下に突き出した金属部分や、フレームの一部がジャッキアップ可能なポイントとなっています。
さらに、サイドシル部分にも左右1箇所ずつポイントがあり、こちらはホイール交換やタイヤローテーション時に使用されることが多いです。
これらのポイントに共通して言えるのは、「車体の下にゴムや樹脂カバーなどのない、露出した金属部分」であること、そしてその部位が多少なりとも補強されていることです。
見つけ方としては、まず車両を平坦で固い場所に停め、車体の下をライトなどで照らしながら、目視と手触りで確認していくとよいでしょう。いずれにしても、安全のため、ジャッキアップポイントは絶対に指定箇所以外にかけてはいけません。
ボディを傷めるだけでなく、最悪の場合は車が落下する危険性すらあります。確実に場所を把握し、間違いのない作業を行うことが何より大切です。
ジャッキ収納場所はどこ?

ホンダ・フリードの車載ジャッキの収納場所は、グレードやモデルによって微妙に異なりますが、基本的には荷室後部や左右の内張りに隠されたスペースに収められています。
例えば、フリードハイブリッドGP3やGB7/GB8型では、リアゲートを開けたあと、カーゴスペース右側のリッド(小さなフタ)を開けると、ジャッキや工具袋が収納されています。
その中には、ジャッキ本体のほか、ジャッキハンドルバーやジャッキハンドルも一緒に格納されており、すぐに取り出せるようになっています。リッドにはノブ(つまみ)が付いており、それを引いて開ける構造のため、工具がなくても簡単に開閉できるのが特徴です。
一方、フリード+やフリードスパイクなど一部のモデルでは、左側にも工具用のリッドがあり、そちらに別の整備用品が収納されている場合もあります。これを知らずに、片方だけを開けて「工具が見つからない」と困惑するケースも少なくありません。
さらに注意しておきたいのが、新型フリード(GT系やAIR/Bizタイプなど)では、ジャッキが標準装備ではなく「別売り」となっているグレードも存在する点です。このようなモデルでは、万が一のパンク時などに備えて、自分でジャッキを別途購入しなければならない可能性があります。
なお、その場合には「対応するフリード専用ジャッキ」を選ばないと、車体重量や形状に合わず事故や破損につながります。
収納場所が分からないまま慌てて車内を探し回るのは避けたいものです。出先で困らないよう、購入後には一度すべてのリッドを開けて、ジャッキや工具の有無・配置を確認しておくと安心です。また、実際に取り出す練習をしておくと、いざというときの作業がスムーズに進むでしょう。
前輪・後輪で違うジャッキ設置場所
フリードのジャッキアップポイントは、前輪と後輪で設置位置や注意点が異なります。この違いを理解していないと、誤った場所にジャッキをかけてしまい、車体の損傷や大きな事故につながる恐れもあります。
まず前輪についてですが、フリードの場合、ジャッキポイントはフロントのサブフレーム中央付近、前輪の後ろあたりに設けられています。この場所は他のパーツと違い、アンダーカバーがない露出部分で、2つの穴が目印になっています。
ただし、車高がそれほど高くないフリードでは、フロアジャッキをそのまま差し込むとバンパーに干渉する可能性があります。これを防ぐには、事前にカースロープなどで車体を少し持ち上げておくのが安全な方法です。
一方、後輪のジャッキポイントは、リアの中央付近にある突起したフレーム部分が該当します。
車体を後方から覗くと、銀色の金属部品が飛び出しており、それが目印となります。この部分はしっかりとした強度を持っているため、両輪を一度に持ち上げることも可能です。ただし、4WDモデルの場合はリアデフが存在するため、位置が異なることがあります。
その場合は必ず整備マニュアルを参照してください。
また、いずれのタイヤであっても、ジャッキアップの前にはホイールナットを少し緩めておくことを忘れてはいけません。地面に接地している状態で作業することで、ホイールが空転せず、安全に緩められるからです。
このように、前輪と後輪ではジャッキアップの難易度や作業環境が異なります。
前輪は奥まった位置で視認しづらく、後輪は比較的分かりやすい位置にありますが、いずれも確実な確認と正しい操作が必要です。自信がない場合は無理をせず、専門店での対応を検討することも大切です。
サイド部の安全なジャッキの当て方

フリードのサイド部分にあるジャッキアップポイントは、タイヤ交換や片側だけの持ち上げが必要な場面で頻繁に使用されます。ただし、「安全に当てる」ためにはポイントの形状や道具との相性をよく理解しておく必要があります。
一般的に、サイドのジャッキポイントはサイドシルの内側に位置し、L字型に折り曲げられた補強板が縦に伸びています。
このL字部は、ジャッキが正しくフィットするように設計されていますが、汎用のフロアジャッキやリジッドラックのゴムパッドでは溝の幅が合わないケースもあります。そのため、ゴムがめくれたり、鉄板が変形するリスクがあるのです。
このようなトラブルを防ぐには、専用のジャッキパッドやゴムプレートを活用するのが効果的です。
例えば、溝の幅が広めに作られた「サイド用ジャッキパッド」を別途用意しておくと、確実にL字部にフィットし、安全に作業が進められます。これがなければ、ジャッキがずれてしまい、最悪車両が落下する危険もあります。
また、ジャッキアップ中には絶対に車内に人を乗せたり、荷物を積んだままにしないでください。
これにより重量バランスが崩れ、車体が傾いてしまうことがあるからです。さらに、作業する際には車体が完全に固定された状態であることを確認しましょう。輪止めを反対側のタイヤ前後に置くことも、基本的かつ有効な安全策です。
見落とされがちですが、後輪交換時には「パワースライドドアの誤作動」にも注意が必要です。スイッチをOFFにしておかないと、作業中にドアが開いて思わぬ事故につながることもあるからです。
このように、サイドジャッキの当て方はシンプルに見えて実は繊細な作業です。安全のために必要な準備を整え、手順に沿って丁寧に対応することで、トラブルを未然に防げます。
車高と必要なジャッキ高さ
車を安全に持ち上げるには、車高とジャッキのリフト量(持ち上げ可能な高さ)の関係を正しく理解することが大切です。
フリードのようなミニバンの場合、最低地上高はおおよそ135mm〜160mm程度ですが、ジャッキポイントまでの高さはさらに数センチ上がるため、ジャッキの最低高さが110mm以下でなければスムーズに差し込むことが難しくなります。
こうして考えると、フリードの標準グレードであっても、パンタジャッキや一般的な油圧式フロアジャッキではギリギリの高さになることが多く、車体下に潜り込ませるためにはスロープや木板で一時的に車高を上げるなどの工夫が求められます。
これを怠ると、バンパーやサイドスカートに干渉してしまい、部品を損傷するリスクがあります。
フリードに適したジャッキ選びのポイントと注意点
項目 | 内容 |
---|---|
車両最低地上高 | 約135mm〜160mm(グレードにより異なる) |
ジャッキポイントまでの高さ | 地上高+数cmが必要 |
ジャッキ最低挿入高さ | 100mm以下が理想(110mm以上では差し込み困難な場合あり) |
推奨最大リフト量 | 300mm〜400mm以上(タイヤ浮き上がりとリジッドラック使用を考慮) |
注意すべき装備 | サイドスカート・バンパーの干渉に注意 |
低車高グレード対応 | 「Modulo X」「CROSSTAR」はより薄型のジャッキ推奨 |
設置時の工夫 | 木板・スロープ等で車高を一時的に上げる工夫が必要な場合あり |
使用目的 | タイヤ交換などでは完全にタイヤが浮くまでの高さが必要 |
ジャッキの種類 | パンタジャッキ・油圧式フロアジャッキいずれも薄型推奨 |
補助装備 | リジッドラック(ウマ)使用時はさらにリフト高さの余裕が必要 |
リスク回避 | ジャッキ挿入ミスで車体部品を損傷するリスクあり |
また、タイヤ交換を行う際には「地面からタイヤが完全に浮くまで持ち上げる必要」があるため、車高だけでなく「タイヤの沈み幅」も加味してジャッキを選ぶ必要があります。
一般的には地面から300mm〜400mm程度まで持ち上がるジャッキが安心とされており、リジッドラック(ウマ)を併用する場合はさらに高さの余裕を見ておくことが望ましいでしょう。
つまり、フリードに適したジャッキを選ぶ場合、「最低挿入高さが100mm以下」「最大リフト高さが400mm以上」の条件を満たしているものが理想的です。
特に車高が低めの「Modulo X」や「CROSSTAR」など一部グレードでは、より薄型のジャッキが必要になるため注意が必要です。
一見すると小さな違いに思える車高ですが、整備の安全性と作業効率に直結する重要なポイントです。ジャッキを選ぶ前に、まず自車の最低地上高とジャッキポイントまでの距離を確認しておくと失敗がありません。
タイヤ交換に必要なジャッキの強度とは?

タイヤ交換を安全かつ確実に行うには、ジャッキの「持ち上げ可能な荷重=耐荷重」が車両重量に十分対応していることが前提となります。
ホンダ・フリードの場合、グレードや駆動方式により若干の違いはあるものの、車両重量は約1,300〜1,580kgの範囲に収まっています。タイヤ交換時には一輪、または片側二輪のみを持ち上げることが多いため、最低でも1トン以上の荷重に耐えられるジャッキが求められます。
では、どの程度の強度があれば安心かというと、目安として「耐荷重1.5トン以上」のジャッキであればフリードには十分対応可能です。
ただし、車載のパンタジャッキは最小限のスペックで作られており、あくまで応急処置向けと考えた方が無難です。頻繁に交換を行う方や冬タイヤとの入れ替えをDIYで行う方には、油圧式のフロアジャッキが推奨されます。
注意点として、耐荷重が不足しているジャッキを使ってしまうと、油圧抜けや支柱の変形が起こる可能性があり、車体が突然落下する危険もあります。また、ジャッキ本体に明記されている「最大荷重」は理論上の数値であるため、余裕を持ったスペックを選ぶことが推奨されます。
さらに、車両の前方と後方では重量のかかり方が異なります。
一般的にエンジンが搭載されている前輪側は重くなる傾向があるため、フロント側のジャッキアップ時には特に強度に注意が必要です。これに対し、リア側は比較的軽いため、設置も安定しやすいというメリットがあります。
このように、ジャッキの強度は「安全性の根幹」と言っても過言ではありません。価格の安さだけで選ばず、メーカーの信頼性やユーザー評価も確認しながら、確実に作業できるものを選定してください。
型式別に見るフリードのジャッキアップポイントの違い

・GP3・GB3・GB4の違いに注意
・ジャッキアップ構造とは
・フリードプラスやスパイクの共通点と違い
・GTやGB7・GB8での注意点
・前方・中央・リアのおすすめ設置位置
・社外ジャッキ選びと費用の目安
GP3・GB3・GB4の違いに注意
フリードにはモデルによって「GP3」「GB3」「GB4」などの型式が存在しますが、この違いを理解せずに作業を行うと、ジャッキアップポイントの位置を誤る危険があります。
これらは見た目こそ似ていますが、駆動方式やハイブリッドの有無、サスペンション構造の違いなどにより、設計が微妙に異なっているのです。
GP3はフリードハイブリッドの初期モデルで、FF(前輪駆動)専用のハイブリッド車です。エンジンとモーターの搭載位置が異なるため、フロア構造にも若干の違いがあり、ジャッキアップポイントはより厳密に確認する必要があります。
一方でGB3はガソリンエンジンのFFモデル、GB4は4WDモデルです。特にGB4は後部にプロペラシャフトやデフが搭載されているため、リア側のジャッキアップポイントが他の型式とは大きく異なる位置に設定されています。
このため、例えばGB3で使えたフロントジャッキポイントが、GP3では干渉したり、そもそも存在しない場合があります。現場での混乱を避けるためにも、型式を正確に把握し、その車両に対応するジャッキアップ手順を確認してから作業を進めることが重要です。
また、工具の収納場所やスペアタイヤの有無も型式によって変わってくるため、「他の人のフリードとは仕様が違う」と感じた場合は型式の違いを疑ってみるとよいでしょう。
車検証で確認できる型式情報は整備の第一歩です。自分の車がどのモデルで、どの位置に安全なジャッキポイントがあるのかを理解してから作業に入ることで、失敗や事故を未然に防ぐことができます。
ジャッキアップ構造とは

車両を安全に持ち上げる「ジャッキアップ構造」は、一見単純に思えるかもしれませんが、実は非常に緻密に設計されたメカニズムです。ここでいう構造とは、ジャッキの動作原理と、それを受け止める車体側の構造的補強部分の両方を指します。
ジャッキにはいくつかの種類がありますが、フリードに一般的に使用されるのは「パンタジャッキ」と「油圧式フロアジャッキ」です。パンタジャッキはスクリューを回してアームを押し広げることで車体を上昇させる仕組みです。
一方、油圧式ジャッキはレバー操作によりピストンが油圧で押し上げられ、よりスムーズに重い車両を持ち上げることができます。
しかし、これらのジャッキをどこに当てるかという問題も極めて重要です。
ホンダのフリードには、車体の各部に「ジャッキアップ専用ポイント」が設けられており、そこには補強された金属フレームが使われています。
このポイント以外にジャッキをかけると、ボディの変形や部品破損の原因になります。また、最近の車両は燃費向上のために軽量化が進んでおり、ボディ剛性を確保するために設計されたジャッキポイント以外の部位は意外と脆弱です。
これを理解せずに「持ち上がるから大丈夫」と思って作業を進めると、車体が曲がったり、最悪の場合落下事故につながることがあります。
さらに、車両を持ち上げたあとは「リジッドラック(ウマ)」で車体を支えることが基本です。ジャッキ単体で作業を行うのは危険が伴うため、必ずリジッドラックに載せ替えてから作業に入るようにしましょう。
このとき、車体とリジッドラックの接触面にゴムパッドなどの保護材を使うことで、金属同士の直接接触による損傷を防ぐことができます。
つまり、ジャッキアップ構造を理解するとは、「ジャッキの動作原理」「車両側の設計意図」「補助機材の適切な使い方」の三点を総合的に把握することにほかなりません。この基本を押さえてこそ、安全な整備が可能になります。
フリードプラスやスパイクの共通点と違い
フリードシリーズの中でも、「フリードプラス」と「フリードスパイク」はよく比較されるモデルです。名前は異なりますが、両者には多くの共通点がありつつも、設計思想やユーザーの用途に応じて明確な違いも存在します。
まず共通しているのは、どちらも「2列シート+広いラゲッジスペース」を基本としたモデルであることです。フリードの3列シート構成を廃し、代わりに荷室の拡張や収納性の向上を図っている点が共通の特徴です。
アウトドアや車中泊を想定したユーザーには特に支持されてきたモデルといえるでしょう。また、基本的な車体サイズやエンジン、ハイブリッドシステムも同様であるため、整備手順や部品互換性も高いというメリットがあります。
一方で、違いにも注目すべき点があります。
スパイクは初代フリード派生モデルとして、より「商用」や「積載性」を意識した構造が特徴です。ラゲッジスペースの床面がフラットで堅牢に設計されており、実用性を重視したシンプルな内装が採用されています。
これに対してフリードプラスは、より「ファミリーユース」や「快適な旅行」を意識して設計されており、車中泊用のボードやシートアレンジの自由度が増した構成になっています。
ジャッキアップにおいても注意点があります。フロア構造は似ていても、ラゲッジスペースの下構造や重量配分には違いがあるため、リアのジャッキポイントの位置や補強部材の有無に差が出ることがあります。
必ず車種ごとの説明書や信頼できる情報をもとに、ポイントを確認することが大切です。
GTやGB7・GB8での注意点

フリードのGT、GB7、GB8などのモデルは、一見同じ車両に見えても、ジャッキアップ作業を行ううえではいくつかの重要な違いが存在します。
これらの型式の違いを理解していないまま作業を行うと、ジャッキアップポイントを誤ってしまい、車体の損傷や事故につながる可能性もあるため、十分な注意が必要です。
GTは2024年から登場した最新型の3代目フリードで、プラットフォームやボディ構造が一新されています。従来のGB系とはジャッキポイントの位置が異なり、例えばフロントの中央ジャッキアップポイントはサブフレーム中央の突起部に設定されており、従来のモデルと見た目や取り付け角度が違います。
また、リアのジャッキポイントもより車両中心寄りに変更されているため、従来の感覚で位置を決めるのは非常に危険です。
GB7およびGB8は、先代フリードのハイブリッドモデルに該当します。GB7はFF車、GB8は4WD車を指しており、リア側の構造が大きく異なるのが特徴です。
特にGB8の4WDモデルでは、プロペラシャフトやデファレンシャルが搭載されている関係で、リアのジャッキアップポイント周辺に部品が集中しており、誤ってそれらを支点にしてしまうと破損の恐れがあります。
これらのモデルでは、車体下のフロアレイアウトや排気系統、モーター配置も違うため、「このあたりだろう」といった目視判断での作業は非常に危険です。車検証で型式をしっかり確認し、取扱説明書や信頼できる整備記録を参考にしてジャッキアップポイントを見極めることが重要です。
前方・中央・リアのおすすめ設置位置
ジャッキアップの設置位置を選ぶ際には、車体のどこを持ち上げるかによってポイントが変わります。
フリードシリーズにおいては、「前方(フロント)」「中央(サイドシル)」「後方(リア)」の3つの主なエリアに、それぞれ専用のジャッキアップポイントが設定されています。それぞれのポイントの特徴を理解して使い分けることで、作業の安全性と効率性が大きく向上します。
まずフロントですが、もっともおすすめの設置位置はサブフレーム中央にある円形の突起部分です。
この場所は構造的に強化されており、前輪両方を同時に持ち上げることが可能です。ただし、この位置は車両前方のかなり奥にあるため、地上高の低いジャッキでなければ差し込みが難しい点には注意が必要です。
カースロープで車体前部を数センチ持ち上げてからジャッキを差し込むとスムーズです。
次に中央部、すなわちサイドシルの下には個別のジャッキアップポイントが左右に用意されています。ここはホイールハウス近くのフレームがL字に折り返されて補強されており、1輪ずつ交換する場合に最適なポイントです。
特に応急用のパンタジャッキを使う際はこの部分に限定されるため、マニュアルに従って正確に位置を合わせましょう。
最後にリアですが、おすすめの設置位置はリアバンパー下部のフレーム突起部分です。
この部分はリアアクスルと連結しており、後輪を両方持ち上げるのに適しています。4WD車の場合、デフなどの部品が隣接しているため、間違えてそれらを支点にしないよう注意が必要です。
このように、それぞれのポイントには特徴があり、作業目的によって最適な位置を選ぶことが大切です。適切な位置にジャッキをかけることで、車体の安定性が確保され、安全に作業を進めることができます。
社外ジャッキ選びと費用の目安
純正の車載ジャッキはあくまで非常用の応急措置として設計されており、日常的なタイヤ交換やメンテナンスには社外製のジャッキを用意することが望ましいとされています。しかし、社外ジャッキにはさまざまな種類と価格帯があるため、選ぶ際にはポイントを押さえておく必要があります。
まずチェックすべきは「耐荷重」です。フリードの車両重量はモデルによって異なりますが、1.3~1.6トン前後が標準的です。そのため、安全を見越して2トン以上の耐荷重を持つジャッキが推奨されます。
とくに油圧式フロアジャッキは安定性が高く、片側2輪を同時に持ち上げることができるため、作業効率が格段に向上します。
次に「最低高さ」と「リフト量」にも注意が必要です。最低地上高が低めのフリードでは、最低挿入高さが100mm以下のローダウン対応ジャッキが好まれます。リフト量は400mm以上あると、ウマをかける際にも余裕が持てて安心です。
費用の目安としては、簡易的なパンタジャッキであれば2,000円程度から購入できますが、安全性と耐久性を求めるのであれば、1万円前後の油圧式ジャッキが主流です。
さらに、ウマ(リジッドラック)やジャッキパッド、保護マットなどを含めた一式セットを揃えるとなると、合計で15,000円〜20,000円ほどの予算が必要になることもあります。
また、ネット通販で購入する場合は、レビューや実績をよく確認しましょう。
価格が安くても構造が不安定な商品や、リフト力に問題のある粗悪品が混在していることがあるためです。整備用の工具は命を預ける道具ともいえるため、信頼性の高いブランドを選ぶことが長期的にはコストパフォーマンスにもつながります。
このように社外ジャッキは選び方を誤らなければ、安全で快適なカーライフの強い味方になります。単なる消耗品ではなく、投資と考えて適切な製品を選ぶことが大切です。
まとめ:フリードのジャッキアップポイントについて

・フリードのジャッキアップポイントはL字型補強リブのある金属部分に設定されている
・フロントのジャッキポイントはサブフレーム中央にある突起部が目印
・リアはバンパー下の突起した金属フレームがジャッキポイントになる
・サイドのポイントはサイドシル内側の補強部に位置している
・ジャッキアップ前には取扱説明書で位置を確認すべき
・ジャッキは収納リッド内にあるが、モデルによって左右に分かれる
・一部の新型フリードはジャッキが標準装備ではなく別売り
・前輪と後輪ではジャッキの設置位置と注意点が異なる
・フロントはジャッキ挿入時にバンパー干渉の恐れがあるためスロープ併用が推奨される
・4WDモデルではリアデフ周辺に注意が必要
・ジャッキアップ時はホイールナットを事前に少し緩めておく
・サイドのジャッキアップには専用パッドを使用したほうが安全
・車高とジャッキのリフト量を事前に確認する必要がある
・フリードには最低でも耐荷重1.5トンのジャッキが適している
・型式(GP3・GB3・GB4など)によってポイントの位置が異なるため注意が必要
・フリードの寸法図で比較する室内空間と外寸の特徴・最適なグレード
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