SUVの購入を検討する中で「エクストレイルイーパワー」が気になっている方も多いのではないでしょうか。2022年にモデルチェンジを迎え、日産独自のハイブリッドシステム「e-POWER」を全面採用したこのモデルは、ガソリン車とはひと味違う走行体験を提供します。
しかし、いざ購入を考えたとき、「いつから登場したの?」「特徴的な走行システムって何?」「e-4ORCEとの違いは?」「何人乗りなの?ファミリーでも快適?」など、気になるポイントがたくさんあるはずです。
本記事では、エクストレイルイー パワーの魅力から注意点までを一挙にご紹介。読み終えるころには、エクストレイル イー パワーの全体像がつかめ、あなたに最適な選び方が見えてくるはずです。
・エクストレイル イー パワーの仕組み
・家族利用に適した乗車人数やサイズ感
・購入価格や維持費、中古購入時のポイント
・e-4ORCEとの違いや実際の燃費性能
エクストレイルイーパワーの基本と魅力を知る

・いつから登場?モデルチェンジの歴史
・特徴的な走行システムとその仕組み
・e-4ORCEとの違いをわかりやすく解説
・何人乗り?家族にも適したサイズ感
・馬力・排気量・走りのバランス
・静粛性や乗り心地の評価は?
いつから登場?モデルチェンジの歴史
エクストレイルのe-POWERモデルが正式に登場したのは、2022年7月のフルモデルチェンジからです。このとき、4代目となる新型エクストレイル(T33型)がデビューし、それまで存在していたガソリン車を廃止してハイブリッド専用モデルへと大きく舵を切りました。
日産独自のシリーズ式ハイブリッドシステム「e-POWER」の第二世代が搭載されたことで、走行性能と燃費性能の両立を実現しています。
振り返れば、初代エクストレイルは2000年に登場し、堅牢なフレームと悪路走破性でSUV市場に一石を投じました。2代目(2007年)、3代目(2013年)とモデルチェンジを重ね、特に3代目ではハイブリッド車が初めて設定されましたが、これはあくまでも一部グレードに限られたものでした。
このように、2022年のフルモデルチェンジは、日産が本格的に電動化へシフトした象徴的な出来事です。e-POWERを中心に据えたことで、従来のSUVとは一線を画す走りを実現しつつ、環境性能にも優れた次世代SUVへと進化しました。
特徴的な走行システムとその仕組み

エクストレイル イー パワーが注目される理由のひとつは、内燃機関でありながら電気自動車のような感覚で走行できる「シリーズ式ハイブリッドシステム」にあります。
通常のハイブリッド車では、エンジンとモーターの両方が駆動力を担いますが、e-POWERではエンジンは発電専用で、実際に車を動かすのはモーターだけという点が大きな特徴です。
具体的には、発電用の1.5L VCターボエンジンが稼働して電力を発生させ、その電力がリチウムイオンバッテリーや走行用モーターに供給されます。この仕組みによって、電動モーターならではのスムーズな加速と、回生ブレーキによる効率的なエネルギー回収が可能となっています。
この構造により、変速ショックがなく、EVのような静かで滑らかな走行体験が味わえます。
また、車内で感じるエンジン音も非常に抑えられており、長距離ドライブにおける疲労感の軽減にも貢献しています。言い換えれば、e-POWERはエンジンの存在を感じさせず、快適なドライビングを支える革新的なテクノロジーなのです。
e-4ORCEとの違いをわかりやすく解説
エクストレイルのカタログを見ていると、「e-POWER」と並んで「e-4ORCE(イーフォース)」という名称をよく目にします。
両者は混同されがちですが、その役割はまったく異なります。e-POWERは車の駆動方式そのものを指す一方で、e-4ORCEはモーター制御によって走行性能を高める高度な四輪駆動制御技術です。
e-4ORCEは、前後に配置された2つの高出力モーターと、4輪それぞれにブレーキ制御を施すことで、路面状況に応じたトルク配分を自動で調整します。この結果、雪道や雨天時の滑りやすい路面でも、安定した走行を可能にします。
さらに、コーナリング時の車体のブレや揺れを抑える制御が働くため、乗り心地にも大きく貢献しています。
ここで強調しておきたいのは、e-4ORCEはe-POWERの付加機能という位置づけであり、両者は併用可能です。つまり、e-POWERの燃費効率とEVライクな走行性能に加えて、e-4ORCEによる走行安定性を求める方には、e-4ORCE搭載車が最適と言えるでしょう。
何人乗り?家族にも適したサイズ感

エクストレイル イー パワーのラインナップには、5人乗りと7人乗りの2つのシートアレンジが用意されています。
家族構成や使用目的に応じて選べる点は、ファミリー層を中心に高く評価されています。特に7人乗りモデルでは3列シートを採用し、大人数でのドライブやアウトドア、荷物の多い旅行にも対応可能です。
ただし、3列目シートは補助的な性格が強いため、長時間の移動には向かない場面もあります。小さなお子様を乗せるには問題ありませんが、大人が乗る場合は足元スペースにやや余裕がない点に注意が必要です。
一方、5人乗りモデルは後席の居住性が高く、荷室も広々としているため、日常使いにおいても非常に実用的です。さらに、荷物が多いときは後部座席を倒してフラットな空間を作ることもでき、キャンプ道具やベビーカー、大型スーツケースも余裕で積載できます。
このように、エクストレイル イー パワーは、家族構成やライフスタイルに応じて柔軟に選べるサイズ設計が大きな魅力といえるでしょう。
馬力・排気量・走りのバランス
エクストレイル イー パワーは、見た目のタフさに加えて、パワートレインにおいてもその名に恥じない走行性能を備えています。搭載されているのは1.5リッターの直列3気筒VCターボエンジンで、排気量は1500ccと比較的コンパクトです。
しかし実際に車を駆動するのはモーターであり、前輪用モーターは150kW(204馬力)、e-4ORCE(4WD)モデルでは後輪にも100kWのモーターが追加され、システム全体で非常に力強い加速を実現します。
この構成により、発進時のレスポンスはまさに電気自動車のようにスムーズで、加速時の伸びも十分に感じられます。特に都市部では静かにスイスイ走れる快適さ、郊外や高速道路では合流や追い越し時のパワーに余裕があり、ストレスのない運転が可能です。
また、排気量が1.5Lであるため、税制面でのメリットも見逃せません。排気量2000cc以上のSUVと比べて、自動車税の負担が抑えられるのは維持費を気にするユーザーにとって大きな魅力でしょう。
コンパクトなエンジンでありながら、モーターの力を活かすことで、燃費・馬力・経済性のバランスが絶妙に整っている車種と言えます。
静粛性や乗り心地の評価は?

エクストレイル イー パワーは、走行中の静粛性において多くのユーザーから高い評価を得ています。
その理由のひとつが、エンジンを直接駆動に使わないe-POWER特有の仕組みにあります。走行は基本的にモーターで行われ、エンジンは発電専用として使われるため、エンジン音が運転中に大きくなることはほとんどありません。
また、発電のタイミングも日産独自の制御によって、路面からのノイズと重ならないよう設計されています。例えば、舗装の荒れた道路を走っているときなどは、あえてそのタイミングにエンジンを稼働させることで、相対的にエンジン音が目立たなくなる工夫が施されています。
加えて、足回りのセッティングも乗り心地を重視したチューニングがされており、路面の凹凸を吸収するサスペンションの動きが非常に滑らかです。特に長時間の運転でも疲れにくく、後部座席の同乗者からも好評です。
ただし、路面の大きな段差を通過する際には若干の突き上げ感があることもあり、タイヤサイズやグレードによって乗り心地に若干の差が出る点には注意が必要です。
エクストレイルイーパワーの価格・燃費・維持費まとめ

・購入価格の目安とおすすめグレード
・カタログ燃費と実燃費の違いとは
・バッテリー上がりや故障の注意点
・自動車税や維持費のリアルな負担
・中古で買うときのチェックポイント
・試乗やレンタカーでの体験方法
購入価格の目安とおすすめグレード
エクストレイル イー パワーの購入を検討する際、まず気になるのが価格帯でしょう。グレードやオプションによって価格差がありますが、概ね370万円~500万円の範囲に収まります。2WDモデルは比較的手頃な価格で、4WDモデル(e-4ORCE搭載車)はやや高めの設定となっています。
おすすめのグレードとしては「X e-4ORCE」が挙げられます。
このグレードは、安全装備や先進機能が一通り備わっており、コストパフォーマンスに優れています。さらに「G」グレードになると、ナッパレザーシートや高級感のある内装、12.3インチの大型ナビゲーションなどが搭載され、ラグジュアリーなSUVとしての満足度が高まります。
ただ、その分価格は上昇するため、予算とのバランスを考慮する必要があります。また、特別仕様車として「90周年記念車」も登場しており、限定装備や専用デザインを求める方には魅力的です。
見た目だけでなく機能面でも差別化されており、希少価値を重視する方には向いています。グレード選びでは、実際の利用シーンや家族構成に合わせて必要な装備を見極めることが大切です。
カタログ燃費と実燃費の違いとは

燃費性能は車選びにおいて非常に重要なポイントのひとつです。
カタログ上の燃費はエクストレイル イー パワー(2WD)で最大約19.7km/Lとされていますが、これは国の定めた基準に従って測定された「WLTCモード燃費」に基づくものです。実際には走行条件や運転スタイルによって数値が大きく変動します。
例えば、通勤や買い物など市街地中心の走行が多い場合は、モーター走行時間が長くなり、燃費が比較的良好に保たれる傾向があります。一方で、高速道路や山道を多用するような運転では、エンジンによる発電が頻繁に行われるため、燃費がカタログ値を下回ることもあります。
実燃費としては、おおむね13km/L~17km/L程度とされており、走行環境に応じて上下します。もちろん、エアコンの使用頻度や車両の積載量も影響するため、日常的にどのような使い方をするかを想定して判断することが重要です。
なお、e-POWERの特徴として、停止や減速時に回生ブレーキによる電力回収が行われるため、ストップ&ゴーの多い街乗りで高燃費を出しやすいという利点があります。走行状況と燃費の関係を理解したうえで、実用的な燃費を見極めるとよいでしょう。
バッテリー上がりや故障の注意点
エクストレイル イー パワーは電動車ならではの先進的な仕組みを備えていますが、それゆえに従来のガソリン車とは異なる点で注意が必要です。とくに、バッテリー上がりに関しては誤解されやすいため、正しい知識を持っておくことが大切です。
この車には走行用の大容量リチウムイオンバッテリーと、電装品を動かすための12V補機バッテリーの2種類が搭載されています。車が走る際に使われるのは前者ですが、ライトやワイパー、キーリモコンなどを作動させるのは後者です。
この12Vバッテリーが上がると、たとえ走行用バッテリーが満充電でも車を起動できなくなる場合があります。
多くのユーザーは「モーターで走る車=バッテリー切れの心配がない」と考えがちですが、実際にはエンジンが頻繁にかからないことが逆に補機バッテリーの充電不足を招く原因にもなり得ます。週末だけ車を使う方などは、数日に一度は短時間でも車を動かす習慣をつけておくと良いでしょう。
また、故障に関しては、e-POWERシステム自体のトラブルは非常に稀とされています。
ただし、電子制御が多く使われているため、万が一の故障時はディーラーや専門店での対応が基本となります。出先でのトラブルに備えて、JAFやロードサービスと提携した自動車保険に入っておくと安心です。
自動車税や維持費のリアルな負担

エクストレイル イー パワーは、一般的なガソリンSUVに比べて維持費がどうなのか気になる方も多いでしょう。まず自動車税については、搭載されているエンジンの排気量が1.5リッターであるため、年間の税額はおおよそ30,500円(普通車)となります。
これは2.0L以上のSUVと比較すると、数千円から1万円以上の節約につながります。燃費性能も優れており、日常使いの維持費を抑えるうえで重要な要素となっています。
ただし、e-POWERはエンジンで発電し、その電力でモーターを駆動するという特有の構造のため、バッテリー交換やインバーターなどの電装系に関する点検や部品交換が、長期保有を前提とした場合に影響してくることもあります。
また、タイヤやブレーキパッドといった消耗品は、車両重量が重めな分、交換頻度がやや高くなる傾向があります。とくに4WD(e-4ORCE)モデルは、タイヤ4本の均等な摩耗が求められるため、ローテーションの頻度を意識しておくと良いでしょう。
さらに、任意保険の料率も車両クラスによって異なるため、見積もり時には年齢や等級を含めて保険料のシミュレーションを行うことが推奨されます。
総じて言えば、維持費は軽自動車よりも高くなる一方で、走行性能と快適性、経済性のバランスを考えれば納得できる範囲内に収まるという評価が多いのが特徴です。
中古で買うときのチェックポイント
中古車としてエクストレイル イー パワーを検討する際には、通常のガソリン車以上に慎重な確認が求められます。特に注目すべきは、e-POWERシステムの稼働状況と、12Vバッテリーの状態、そしてソフトウェアの更新有無です。
まず、走行距離が少ないからといって必ずしも「良い状態」とは限りません。走行距離が短くてもエンジンとモーターが頻繁に始動・停止を繰り返している場合、バッテリーやインバーターに負荷がかかっている可能性があります。
そのため、整備記録簿で定期点検がされているかを確認することが重要です。
また、日産ディーラーで購入する「認定中古車」であれば、専用診断機器を用いた点検済みであることが多く、初期不良のリスクを最小限に抑えられます。保証付きの車両であれば、購入後のトラブルにも安心して対応できます。
加えて、電装品やADAS(先進運転支援システム)などの電子制御装置が正常に動作しているかのチェックも欠かせません。
アラウンドビューモニター、プロパイロット、ナビゲーションシステムなど、故障すると修理費が高額になりがちな装備が多いため、事前に試乗や点検をして、実際の作動状況を確認しておくことをおすすめします。
試乗やレンタカーでの体験方法

エクストレイル イー パワーを購入前に体験したいと考える方には、試乗やレンタカーの活用が非常に有効です。カタログや口コミではわからない「走りの質感」「静粛性」「シートの座り心地」などを実際に体感できるため、後悔のない選択につながります。
試乗を希望する場合、日産ディーラーでは公式サイトから事前予約をすることで、希望のグレードや装備を備えた車両にスムーズに試乗することが可能です。とくにe-4ORCEモデルは走行性能に明確な差があるため、坂道や高速道路など走行環境を意識して選ぶと実感しやすくなります。
一方で、数時間の試乗では生活シーンに合うかどうか判断がつきにくいという方には、レンタカーの利用がおすすめです。最近では日産レンタカーなどでe-POWER搭載のエクストレイルが借りられる店舗も増えており、週末に1泊2日程度試してみるという選択肢も現実的です。
荷物の積載量や後部座席の使い勝手、燃費の実感など、普段の生活に近い状況でチェックできることは大きなメリットです。運転中の静粛性やモーター特有の加速感も、レンタカーを通じてしっかりと比較できるでしょう。
購入後の満足度を高めるためにも、可能な限り実車体験を通じて判断することが重要です。
まとめ:エクストレイルイーパワーの価格や維持費について

・エクストレイル イー パワーは2022年7月に登場した第4世代モデル
・ガソリン車を廃止しe-POWER専用モデルに移行
・エンジンは発電専用で、駆動はモーターが行う構造
・モーターのみで走行するため静粛性が高い
・e-4ORCEは四輪制御による走行安定性を高める技術
・e-POWERとe-4ORCEは同時に搭載可能
・乗車定員は5人乗りと7人乗りが選べる
・3列目は補助的な座席で長距離には不向き
・搭載モーターは最大204馬力と高出力
・排気量は1.5Lで自動車税を抑えられる
・カタログ燃費は19.7km/L、実燃費は13〜17km/L程度
・バッテリーは走行用と補機用の2種類がある
・価格帯は約370万〜500万円、特別仕様車もある
・中古車選びでは整備記録とバッテリー状態が重要
・試乗やレンタカーでの事前体験が推奨されている
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